私たちはモコディアの南に鬱蒼と茂る草むらを歩いて通り抜け、美しい様々な花を咲かせた植物に囲まれるように朽ちかけた民家が立ち並ぶ廃村へとたどり着いた。
壊れた木製のゲートに立てかかっていた板にかすれた文字で「花の町フラウリアス」とあったので、ここが私たち兄妹の故郷だという廃村フラウリアスで間違いないようだ。
フラウリアスが無くなった事で馬が通れる街道も失われたと聞いた時は無事にたどり着けるか不安に思ったが、人が通った跡が残っていた事とレオナが薄っすらと残るスタナの匂いを嗅ぎ取れた事で迷わず進む事ができた。
「ここが、フラウリアス…」
「そういえば、この辺りは15年くらい前まで人が住んでたね」
私が何気なく呟くと、ここが廃村になった時期を知っていたオリ君がそう答えた。
スタナの話では今から17年前、私が4歳の時に孤児院に移り住んだと聞いていたので、おおよそオリ君の話とも辻褄が合う。
「さてフレスさん、故郷にたどり着いた感想は?」
「うん。ハッキリとは分からないけど、なんだか…懐かしい、のかしら」
私がゆっくりと何かを味わうように大きく呼吸を繰り返していると、やけに楽しそうなオリ君にここまで来た感想を求められ、私は少しぼんやりしながらオリ君の問いかけに答える。
確かにこの場所には、初めて訪れたという感覚ではない。
民家や近くの畑は荒れ果てているがどこか見覚えがあるような気がするし、風に乗って運ばれる様々な植物の香りやサラサラと鳴る葉音はとても懐かしく、まるで子守歌のようにも感じる。
しかし、この景色を見ているとなぜか胸がざわついて、モヤモヤとしたものが私の心にまとわり付いてくる。
さらに不思議なことに、私はつい最近にもこのような光景を見た気がする。
詳しくは分からないが、たぶん何ヶ月も前ではない。
一体いつ何処で見たのだろうか。
私はこのモヤモヤした気持ちの正体を一人悶々と考えていたが、ふと先ほどのオリ君のある発言が気になった。
私自身もフェミさんから話を聞くまでここが故郷だと知らなかったし、オリ君たちには「フラウリアスにスタナが向かったらしい」としか伝えていない。
なのに、なぜオリ君はここが私たちの故郷だと知っていたのだろう。
「ねえオリ君。私、ここが生まれ故郷だって二人に言ったことあった?」
「あ~…それは、前にスタナさんから聞いたんだ。フレスさんは故郷の事を憶えてないから言っちゃダメってスタナさんに言われてたんだった…けど、フレスさんもここが故郷だって知ってたみたいだし、まぁ良いか」
私が率直にオリ君に問いかけると、彼は私から視線を外して少し引きつった笑顔を浮かべながらスタナから聞いていたと答えた。
はじめこそ「失敗した」と言わんばかりに困った顔をしたオリ君だったが、私自身からフラウリアスの話が出ていたため自分は悪くないと思い至り、すぐに眩しいくらい清々しい笑顔を浮かべた。
どうやらスタナはフェミさんだけでなくオリ君にも口止めをしていたらしい。
あまり隠し事なんてしないスタナが、なぜ故郷に関する事だけはひた隠しにするのだろうか。
スタナがずっとフラウリアスと両親の事を隠してきた理由と、ここに着いてから絶えない不安の原因について再度考えようとした時、ふとレオナが声を掛けてきた。
「フレス、気配は無いけど奥のボロ家の辺りからスタナの匂いがしたわ。行ってみる?」
どうやらレオナはここに来てからも廃村内の匂いを嗅いでスタナの動向を探っていたようで、奥にある少々広めの民家から特に強くスタナの匂いを嗅ぎ取って戻ってきたらしい。
レオナの問いかけで我に返った私は、考えても仕方ないと結論付けてスタナの匂いが強く残っているという一軒の建物に向かうことにした。
その建物は他の民家と比べると少し大きく、造りも少ししっかりしている。
建物の裏手には低めの柵に囲まれた畑らしき場所に、大きめの枝を組んで作られた少々お粗末な十字架が二本突き刺さっている。
その十字架の傍には石を掘って作られたお墓が一つひっそりと置かれていた。
墓石は少し古びて痛んでいたが誰かが手入れをしたばかりのようで汚れは一切なく、大きな二本の十字架も木の中心が乾燥していない事から最近建てられたもののようだ。
「~・ハイトここに眠る。3110・6…名前はかすれて見えないけど、私と同じ苗字。日付は24年前で、6月だとちょうどスタナが生まれた頃だわ」
「じゃあ、この家がフレスさんたちの生家ってことかな。他の建物の近くにあった石には違う名前があったし、スタナさんのお母さんはスタナさんが生まれてすぐに亡くなったって前に聞いてたから間違いないと思うけど」
私がかろうじて読み取れた墓石の文字を口に出すとオリ君が、ここが私の生まれた家ではないかと言ってきた。
どうやらこの村では住んでいた家のすぐ近くに墓を建てる風習があるようで、他の民家にも違う名前が掘られた墓石があったらしい。
さらに彼は以前スタナから私たちの生い立ちを聞いていたため、その内容から私たちがこの家に住んでいたのではないかと推測したようだ。
その推測はどうやら当たっているようで、ここにいると私の胸も一層ざわついて、まるで私に何かを訴えかけるように暴れまわる。
私はこの場所を知っている…そんな感覚はあるのに、肝心の記憶はまるで喉につっかえるように出てこない。
そんなもどかしい感覚から、私は自分の胸に爪を食い込ませるように強く引っかいた。
「フレスさん」
「っひゃ!?…あ、オリ君?」
「ここに来てからどんどん顔色が悪くなってるよ。気分がすぐれないなら、いったん引き返して出直すかい?」
すっかり自分の世界に入り込んでいた私は、不意にローブを引っ張られた事にハッと肩を跳ねあげた。
この時の私は相当考えこんでいたようで誰に声を掛けられたのかも分からなかったが、私のローブを掴みながら心配そうに見上げてくるオリ君の視線から、なんとか彼が私に声を掛けていたのだと気づく事が出来た。
見れば彼の隣に佇んでいるレオナも、なんだか不安そうな目で私を見つめていた。
ここに来てからの私はずっとうわの空で、2人を心配させてしまっていたようだ。
「大丈夫、私は大丈夫よ。建物の周りに目ぼしい場所はもう無さそうだし、建物の中に入ってみましょう」
「あ、待ってフレス。その扉は開かな…」
「え?」
私は2人に心配されないようにそう告げると早足で建物の裏口に手をかけた。
すると思い出したようにレオナが扉がどうとか口にしかけたが、すでに扉に片手をかけていた私は彼女の言葉をろくに聞かないまま、少し重たい扉を引き開けながら彼女の方へと振り返る。
すると彼女は私が扉を開けた瞬間、なぜか目を見開き驚きの表情を浮かべた。
「え、なに?この扉がどうかしたの?」
「…この家の扉、私が開けようとしても全くビクともしなかったわ」
「わぁ、弓を力いっぱい引っ張ってへし折っちゃったレオナでも開かなかった扉を簡単に開けちゃうなんて、フレスさんって意外と力持ちなんだね」
「待って、私は弓を折っちゃうほどの力なんて無いわ!」
どうやらこの建物の入り口は、一足先に来ていたレオナが一度開けようと試みたようだが上手くいかなかったらしく、壊さない限り中には入れないのではないかと思っていたらしい。
確かに扉を開ける時に何かにつっかえるような重い感覚はあった。
だが私には弓を折ってしまう程の力なんて持ち合わせてはいないので、フレス=怪力説を全力で否定しつつ、恥ずかしさで赤くなっているであろう自分の顔を隠すように急いで中へと足を踏み入れた。
この後私に続くように屋内に入ってきたオリ君が小声で「たぶんレオナは扉を押したんだよ」とクスクス笑いながら耳打ちしてきた。
それを聞いた私はヴァンガルト城の門が外から押し開けるタイプの扉だった事を思い出して納得した。
だがそれと同時に彼にからかわれていた事に気付き、すっかり乗せられた恥ずかしさから声にならない叫びをあげて顔を覆ったまましばらく動けなくなってしまった。
ここへ来た理由を心の中で何度も復唱してなんとか平静を取り戻し、今私たちがいるこの民家の中を軽く見て回りだした。
中は生活スペースと思しき部屋が3部屋と、病室にあるような簡素なベッドと文机が置かれた白い部屋。
そして複数の鍵が掛かった部屋があった。
施錠された扉には薬物がある事を示すフラスコ型のマークと危険を現す赤い表示があったので、おそらくここは薬置き場なのだろう。
建物の中はさほど荒れた様子もなく、老朽化した家具と割れた窓ガラスを除けばしっかり手入れされていて、ホコリもほとんど無い。
本当に窓ガラスさえ割れていなければ、まだ誰かが住んでいるのではないかと思えるほどキレイだ。
「さてと、ザックリ内装は分かったけど、どこから探そうか」
「そうね…同じところを探しても時間がもったいないから、手分けして調べましょう」
「それなら、この真っ白い部屋は僕が調べるよ。なんだか見慣れない物がたくさんあって楽しそうだし」
「分かったわ。じゃあ、この部屋はオリ君に任せるわね」
まるで宝探しでも始めるような嬉々とした表情でオリ君に探索方針を聞かれた私は、三人で手分けをしてスタナの手掛かりを探すことを提案した。
するとオリ君は今私たちがいる白い部屋を探したいと自ら立候補してきたので、この部屋はオリ君に任せることにして、私とレオナは薬置き場以外の部屋を別々に探す事にした。
私はレオナと別れ、最初に入った部屋からスタナの手掛かりを探すことになった。
この部屋には大人が2人ほど並んで眠れそうな大きなベッドと、たくさんの書物や絵本が入った大きな本棚が複数あった。
私はその本棚の中央付近の段に置いてあった、小さな額に入った写真にふと目をとめ、手に取ってみてた。
その写真は少し色あせているが、今でも珍しい色付きの写真だった。
写真には銀髪の白衣を着こんだ男と赤い髪の優しそうな女性に、男とそっくりなクセ毛の金髪と赤髪の二人の子供が写っている。
そうだ、この写真は…!
「フレスさん、この部屋の捜索は終わったかい」
「ひゃっ!?お、オリ君…それにレオナも、いつの間に」
「他の部屋は全部調べたわ。フレスそれはなに?」
私は写真に夢中になっていてオリ君たちが近づいていた事にも気が付かず、この部屋の捜索状況を尋ねるオリ君の声に驚き、情けなく短い悲鳴をあげてオリ君の声がした方に顔を向ける。
するとレオナが「残るはこの部屋だけよ」と報告し、私が手に持っていた写真を指差しながら問いかけてきて、オリ君も私が手にしていた写真に興味を示した。
「へ~、色が付いた写真なんて珍しいね」
「これは、昔大きな街に家族で行ったときに撮ってもらった写真なの」
そう、これは普段一人で薬の買い付けに行く父が珍しく私たち家族全員を連れて行ってくれた時に撮ってもらった、私達の唯一の家族写真だ。
当時の私たちはモノクロの写真すら見たことが無くて、まるで鏡にでも映したように仕上がった写真を見たときはとても驚き、時間を切り取る事が出来るのかと兄妹で大騒ぎしたっけ。
「フレスさんたちの家族写真か。って事は奥で笑ってる二人がフレスさんとスタナさんのご両親ってわけか」
「…二人とも、父親と全く似てないのね」
「ふふ、この写真を撮ってくれた写し絵師さんにも同じことを言われたわ。その時父さんったら〈この二人は間違いなく私の子供だ!〉って、今にも泣きそうな勢いで私たちを抱きしめながら叫んで、母さんと職人さんを困らせてたなぁ」
二人といっしょに写真を眺めながら思い出話をしているうちに、私は少しずつ家族やこの家の事を思い出していた。
私の父さんはそこそこ腕の立つ医者で、時折村の外まで診療に行っていた事。
私の母さんは昔旅人をやっていて、世界の珍しい現象の話や遠方の植物の押し花なんかをよく見せてくれた事。
スタナの探検癖はこの頃からすでにあって、光にかざすと透ける石やよく分からない鉄の部品などを持ち帰っては私たち家族に見せびらかし、決まって居間の古時計の中に隠して…
「そうよ、古時計!」
「うわっ、びっくりしたなぁ」
「子供の頃のスタナは、自分の大切なモノや隠したいモノを隣の部屋の大きな古い時計に隠していたの。もしかしたら、最近もそこに何か隠しているかも」
私は大声でそう言うないなや、話の内容をうまく呑み込めていないといった顔をしている二人を連れて、隣の部屋に置いてある古時計の前へと向かった。
その時計は私の背丈よりも少し大きく、立派な台座の上に大きな振り子があり、そのさらに上にはこれまた大きな時計盤が付いていた。
「フレス、この時計はさっき私も調べたわ。振り子の奥までしっかりと見たけど、何も無かったわよ」
「私が調べたいのは、振り子の下、台座の中なの。ちょっと待ってて」
時計の前に着いたレオナは、ここは自分がしっかりと調べたと言って少し頬を膨らませた。
そんな彼女をなだめつつ、私は時計の右面を指で軽く押しながら<あるモノ>を探る。
しばらく時計の側面を探っていると、ちょうど私の胸下辺りで一部の壁面がへこんだ。
手を離すと先ほどへこんだ部分が手前に開いて、数字が刻まれた丸いツマミが出てきた。
「なるほど、カラクリ時計か。これはカラクリを知らないと見つけられないね。そのツマミを動かすと、台座の中が見れるってところかな」
「そうよ。あの時の私じゃまだ背が足りなくて開けることが出来なかったんだけど、スタナがここを開けるところはよく見ていたから暗証番号は知ってるの」
「今から80年くらい前に流行ったカラクリだね。僕も実際にカラクリを作動させるところは見たことが無いから、ワクワクしてくるよ」
ツマミが出てきた事でこの時計がカラクリ時計だと分かったオリ君は、途端に目をキラキラと輝かせて「早く早く」と目で訴えてくる。
そんな彼の期待に答えるように私は、ツマミを回して押し込むという行動を繰り返した。
それを6回繰り返した時、時計の中から<カコン>と小さく音が鳴り、振り子の下にあった板が少し浮き上がり、いち早くそれに気づいたオリ君が浮き上がった蓋を開いた。
「へ~、これはなかなか…単純だけど、暗証番号が分からないとほぼ確実に開かない仕掛けだね。一回分解して中も見たいなぁ…」
「えっ!?この時計も私達、特にスタナにとっては大切なものだから、分解はしないでね。それよりも、蓋の下には何かあった?」
カラクリに興味身心なオリ君は、蓋の周りや蓋がはまっていた窪みをひとしきり観察していた。
そして観察し終えた彼は、あろう事かこの時計を分解したいと嬉々とした表情で言い出すものだから、慌てて止めに入り台座の中身の話を振って彼の話をそらした。
まるでおねだりをする子供のような目で見つめられたが、こればかりは譲れないと表情を硬くして見つめ返すと、オリ君はやれやれといったように肩をすくめて台座の中に仕舞われたモノを一つずつ取り出していった。
「ヴァンガルトではあまり見ない原石がいっぱいだ。僕の拳くらいの黒曜石なんてすごく珍しいよ。あとは…フレスさん、多分当時のスタナさんが全力で隠したかったと思しき黒歴史が出てきたよ」
「うわ、5点なんてどうやったらなるのよ…」
オリ君に手渡された紙には、「5点、もっと頑張りましょう」と書かれていた答案用紙だった。
しかも、おまけの△1つで5点だ。
いくらスタナが勉強嫌いだったという事を踏まえても酷過ぎる答案に思わず頭がクラクラしてきた私は、答案用紙の中身が見えないように折りたたみ、オリ君が次々と取り出した石ころを乗せてスタナの足取りの手掛かり探しを再開する。
台座の中から出て来たものはおおよそ予想どおりで、色の付いた石ころが複数と酷い点数の答案用紙が数枚。
他に目ぼしいものも見当たらずここも空振りかと諦めかけた時、不意にオリ君が嬉々とした声をあげた。
「フレスさん、台座の底蓋を開いたら手記みたいなものが出てきたよ」
「本当?って、底蓋こわしちゃったの!?」
「元からカタカタしていたから、隠し蓋だったんだと思うよ。それより、文章が達筆すぎてうまく読めないんだけど、フレスさんは読めるかい?」
彼の一言に一瞬時計を破損させてしまったのかと思ったが、話を聞くとどうやら違うようでホッと息を吐きつつ、私はオリ君が見つけたという手記を受け取り表紙を開いた。
レオナも手記の内容が気になるようで、私の横から顔を寄せてきた。
「うわ、なにこれ。そもそもこれ、本当に文字なの?」
「この記号、どこかで…あ!これ、昔私とスタナが使っていた<暗号>だわ」
「なるほど、だから僕でも全く読めなかったのか。それで、これは何て書いてあるんだい?」
中には無数の記号と思しきものが大量に並んでいて、一見すると何が書いてあるのか全く分からない。
手記を開く私の横からレオナも内容を読み取ろうと顔を寄せて来たが、少し目にしただけで読めないと判断したようで、つまらなそうに小言を口にして離れてしまった。
だが、私はこの記号に見覚えがあった。
最初こそ分からなかったが、よくよく見るとこれは昔私たち兄妹が使っていた<秘密の暗号>だったのだ。
そもそも現在使われている文字では無い事を知ったオリ君は知的好奇心を駆り立てられたようで、先ほどのレオナのように私の肩に顔を寄せて手記の内容を催促する。
「えぇっと…どうやらここの警備記録みたいね。つい先週の記録もあるわ」
「フレス、そんな変な絵みたいなモノが読めるの?」
「えぇ、これは現在も使われている文字がそっくり記号に置き換わってるだけだもの。たまに文法がおかしい事はあるけど、内容が読めないほどじゃないわ」
とりあえず手記の最初の記述内容と最近書かれた日付を確認した私が二人に手記の概要を伝えると、本当に読めているのかと疑いながら再びレオナも私の隣に戻って来た。
二人が手記に目を向けたので、最初の記述で大まかな暗号の決まりを目の前で説明すると二人とも驚いたような顔で感嘆の声をあげ、オリ君はさらに楽しそうな笑顔をした。
「やったねフレスさん。これはきっと、大きな手掛かりだよ!」
「そうね!でも久しぶりにこの暗号を読むから、ちょっと解読する時間をちょうだい」
「そうか。それじゃあ僕は、ちょっと付近の様子を見てくるよ。ちょっと気になる事があるし…」
「気になる事?」
「あはは、そんな心配そうな顔しないでよ。ほんの少し気になる程度だし、そんな遠くへは行かないからさ。レオナは一応、フレスさんの傍にいて」
やっとそれらしい手掛かりが見つかったかと喜ぶオリ君に解読には少し時間が掛かると伝えると、彼は少し周囲の様子を見に行くと言い出した。
見た目に反して私より経験豊富なオリ君が気になるような事とは何だろうか。
オリ君が「気になる事」と口にした時の表情が少し曇ったように見えて、不安を覚えた私はオリ君に聞き返してみたが、オリ君はまるで何てことは無いといった様子で笑いながら私とレオナを残して外へ行ってしまった。
オリ君の「気になる事」が何なのか気になるが、今はスタナの日誌を解読することが私の役目だと自分に言い聞かせ、再度暗号に興味を示したレオナと共に解読作業に入った。
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